老老介護の末の殺人
2021年1月に仙台で起きた、要介護3の85歳の夫を83歳の妻が「一緒に死ぬつもりで」刺し殺した「老老介護」殺人事件の判決が出た。
裁判所は「結果は重大だが献身的に介護し将来を悲観して突発的に犯行に及んだ経緯は同情できる」として、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
夫婦は二人暮らし。
夫は認知機能が低下し、自力歩行も困難、毎晩2回はオムツ交換が必要。
妻も要支援1で、事件の3日前に腰の圧迫骨折と診断され、トイレにも這って行くような状態だった。
車椅子に乗った被告は裁判で「腰が痛くても私がもっと頑張ればよかった。私が一番悪いんです」と涙を流した。
2021年1月に仙台で起きた、要介護3の85歳の夫を83歳の妻が「一緒に死ぬつもりで」刺し殺した「老老介護」殺人事件の判決が出た。
裁判所は「結果は重大だが献身的に介護し将来を悲観して突発的に犯行に及んだ経緯は同情できる」として、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
夫婦は二人暮らし。
夫は認知機能が低下し、自力歩行も困難、毎晩2回はオムツ交換が必要。
妻も要支援1で、事件の3日前に腰の圧迫骨折と診断され、トイレにも這って行くような状態だった。
車椅子に乗った被告は裁判で「腰が痛くても私がもっと頑張ればよかった。私が一番悪いんです」と涙を流した。
自宅介護、3世帯に1世帯が75歳以上同士
厚生労働省が行った2019年の「国民生活基礎調査」によると、自宅で介護を受けている高齢者のうち、介護者も65歳以上である割合は全体の59.7%
75歳以上同士の「老老介護」の割合も全体の33.1%と、3世帯に1世帯が75歳以上同士であるという結果になった。(全国の約7400人を対象にしたアンケート調査)
2021年3月には東京でも寝たきり状態の84歳の姉を殺害するという事件が起きている。
介護をしていた82歳の妹には、懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡された。
1人で姉を介護していた被告は、生活保護を受給して姉を施設に預ける提案を受けていたが、「税金をもらって生きるのは他人に迷惑をかける」などと考えて受給していなかったという。
家族による虐待が過去最多
厚生労働省がこの12月に発表した所によると、昨年2020年の家族や親族らによる高齢者への虐待件数は、1万7,281件で過去最多を記録した。
75歳以上同士の「老老介護」の割合も全体の33.1%と、3世帯に1世帯が75歳以上同士であるという結果になった。(全国の約7400人を対象にしたアンケート調査)
2021年3月には東京でも寝たきり状態の84歳の姉を殺害するという事件が起きている。
介護をしていた82歳の妹には、懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡された。
1人で姉を介護していた被告は、生活保護を受給して姉を施設に預ける提案を受けていたが、「税金をもらって生きるのは他人に迷惑をかける」などと考えて受給していなかったという。
家族による虐待が過去最多
厚生労働省がこの12月に発表した所によると、昨年2020年の家族や親族らによる高齢者への虐待件数は、1万7,281件で過去最多を記録した。
高齢者の親族や同居人などが加害者となったケースの相談・通報件数も、3万5,774件で前年度より1,717件多い。
厚労省の担当者は「コロナ禍の外出自粛、介護サービスの休止などにより、家庭内で過ごす時間が増えたことも関係している可能性がある」としている。
一方、昨年は過去最多だった介護施設、事業所の職員による高齢者への虐待件数は595件。こちらは統計を取り始めた2006年(平成18年)以降で初の減少となった。
ただ担当者は「家族からの相談が減っている。コロナによる面会制限で、虐待に気付きにくくなったと推測される」と指摘。
外部から見えにくくなっただけとの考えだ。
介護保険制度
どちらの事件にもいえることは、介護する側が1人で抱え込んでしまっている点だ。
夫や姉を献身的に介護する姿勢には頭が下がるし、どんなに大変だっただろうと、自分の経験以上のことなので想像もつかない。
介護施設の1人夜勤も大変だが、朝になれば早番の職員と交代できる。
それが同じ家で暮らしながら何年も続くなんて考えたくもない。
専門知識を持ったプロの介護員ですら追い詰められる。
献身的であればある程、自分を責め、自分ひとりで抱え込みやすい。
介護はひとりでは出来ないし、するべきじゃない。
追い詰められる前に、他人に相談できていたら、そのための窓口を知っていたら、差し伸べられた手をつかんでいたらと、つい考えてしまう。
そのために介護保険制度がある。
いろいろ問題のある制度ではあるが、基本は介護を社会全体で支えることを目的にしている。
家族にしかできないこともあるが、施設だから、他人だからできることもある。
頑張らなくていいし、後ろめたく思う必要もない。
もっと介護保険制度を理解し、利用できるサービスをめいいっぱい使うべきだ。
レスパイトケア
介護する人が一時的に介護から解放され、休むことができるようにすることをレスパイトケアという。
デイサービス、ショートステイ、訪問介護などのサービスを利用することで、介護者が介護から離れる時間を確保できる。
訪問介護なら分単位から1時間以上、デイサービスなら日中、ショートステイなら泊まりで高齢者を引き受けてくれたり、介護サービスを受けることができる。
お風呂に入ったり、他の高齢者と交流したり、美味し物を食べたりと、高齢者にとっても必要な介護サービスが受けられる。
介護する人のためにこうしたサービスを利用することは大きにアリだ。
ケアマネならその辺もちゃんと考えてケアプランを作ってくれる。
家のことを他人に話したくない、子供に迷惑をかけたくない、という人もいる。
それが通用するうちはいいが、介護は甘くない。
上のふたつの事件のように、最悪の結果になってしまうこともある。
差し伸べられた手をつかむ勇気をぜひ持って欲しい。
外部から見えにくくなっただけとの考えだ。
介護保険制度
どちらの事件にもいえることは、介護する側が1人で抱え込んでしまっている点だ。
夫や姉を献身的に介護する姿勢には頭が下がるし、どんなに大変だっただろうと、自分の経験以上のことなので想像もつかない。
介護施設の1人夜勤も大変だが、朝になれば早番の職員と交代できる。
それが同じ家で暮らしながら何年も続くなんて考えたくもない。
専門知識を持ったプロの介護員ですら追い詰められる。
献身的であればある程、自分を責め、自分ひとりで抱え込みやすい。
介護はひとりでは出来ないし、するべきじゃない。
追い詰められる前に、他人に相談できていたら、そのための窓口を知っていたら、差し伸べられた手をつかんでいたらと、つい考えてしまう。
そのために介護保険制度がある。
いろいろ問題のある制度ではあるが、基本は介護を社会全体で支えることを目的にしている。
家族にしかできないこともあるが、施設だから、他人だからできることもある。
頑張らなくていいし、後ろめたく思う必要もない。
もっと介護保険制度を理解し、利用できるサービスをめいいっぱい使うべきだ。
レスパイトケア
介護する人が一時的に介護から解放され、休むことができるようにすることをレスパイトケアという。
デイサービス、ショートステイ、訪問介護などのサービスを利用することで、介護者が介護から離れる時間を確保できる。
訪問介護なら分単位から1時間以上、デイサービスなら日中、ショートステイなら泊まりで高齢者を引き受けてくれたり、介護サービスを受けることができる。
お風呂に入ったり、他の高齢者と交流したり、美味し物を食べたりと、高齢者にとっても必要な介護サービスが受けられる。
介護する人のためにこうしたサービスを利用することは大きにアリだ。
ケアマネならその辺もちゃんと考えてケアプランを作ってくれる。
家のことを他人に話したくない、子供に迷惑をかけたくない、という人もいる。
それが通用するうちはいいが、介護は甘くない。
上のふたつの事件のように、最悪の結果になってしまうこともある。
差し伸べられた手をつかむ勇気をぜひ持って欲しい。