施設で働く介護職の仕事

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介護職の仕事は介護ばかりではない。

季節ごとに行われるイベントもその一つだ。

今月7月は「七夕まつり」を行った。

メインは七夕飾りとケーキやプリンといったお菓子を食べること。

飾り付けや当日の進行、音楽の準備などは介護員が行う。


事前の準備

・用務員さん(介護施設で設備の保守点検や環境整備をしている職員)に飾り付けに使う竹を依頼(田舎なので施設の近所に生えている)

・出入り業者の商品の中から利用者にケーキやプリンを選んでもらう(嚥下の悪い人、自分で決められない人は介護員が選ぶ)
それを注文表にして、事務所に提出(事務所から業者に発注)

・願い事を書く「短冊」と飾り付けに使う「七夕飾り(100均)」の購入届を事務所に出す(介護員が買いに行き、後日精算)

・当日に流す音楽や映像を準備(施設にある物を使ったり、自宅でフリー素材を編集して持ってくる介護員もいる。今回はYoutubeの動画を使用)

・短冊が届いたら利用者に願い事を書いてもらう(書けない人は介護員が代筆)

・竹を切ってきてもらったら、利用者と協力して飾り付け。


もちろん経費がかかるので「起案書」は事前に提出し上司のハンコをもらわなければならない。

行事委員と呼ばれる介護員が集まって、内容や出し物などを決め、書類を作成する。

シフトと日常業務をこなしながら、介護員はこうした準備を並行して行わなければならない。

家で作業する人もいれば、夜勤の合間に準備作業を進める人もいる。

「買い出し」も休日や休み時間を利用して行ったりする。

この準備が一番大変だ。


イベント当日(ユニット型)

時間を見計らって利用者をリビングへ誘導。

音楽と映像を流し、みんなで「キラキラ星」「たなばたさま」を歌う。

織姫と彦星の物語やプラネタリウムの映像を流しながら、短冊に書かれた願い事を読んだり、飾り付けを眺めたりしながら、ケーキと飲み物を提供。

この間も、カメラ係はしっかり写真を撮っておく。

これは家族に送る手紙などに載せるためだ。

トイレの訴えのある人の介助や、自分で食べられない人の介助をしながら見守り。

当然、後片付けも介護員が行う。


介護職の仕事

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うちの施設では、こうした季節のイベントを月に一度行う。

映像やCDなどの音源を使わずに、自分で楽器を演奏する介護員もいるし、2月の豆まきでは介護員が鬼の格好をしたり、クリスマスのイベントではサンタのコスプレをしたりもする。

排せつ介助や入浴介助など、身体介助がメインなのは間違いないが、こうしたイベントを行うことも施設介護員の仕事のひとつだ。

介護員の中にはレクリエーションやイベントを苦手とする人も多い。

自分も50歳を過ぎて鬼やトナカイの格好をするとは思ってもいなかった。

最初はとまどったが、開き直ってやってしまうと案外できるものだ。

周りの介護員が盛り上げてくれるので、できた面もある。

苦手な人は盛り上げるのが上手い介護員のやり方を真似るのもひとつの手だ。

今回も「七夕」とは直接関係ないが、カラオケを用意し「青い山脈」「高校三年生」「憧れのハワイ航路」など高齢者に人気の歌をかけたが、カラオケが一番盛り上がった。

あんなに準備に時間のかかった七夕飾りや短冊は写真を撮ったらおしまいだ。

ケーキを食べたことすら、すぐに忘れてしまう認知症の方もいる。

介護施設でのイベントは、記憶に残ることを期待せず、その時その場で「楽しかった」と思ってもらえたらOK、その感情を味わってもらえれば良しとするべきだろう。

普段口数の少ない男性利用者が、カラオケに合わせて「憧れのハワイ航路」を歌っていた。

聞くとハワイに行った時のことをいろいろ話してくれた。

そうした思い出を引き出し、話を聞く。

それも介護職の仕事のひとつだ。







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